ScrumMaster the Bookを読みました!(2度目)
#翔泳社ブックアンバサダー に当選しまして、ちょっと遅れてしまったんですが本の紹介をさせていただきます!今回紹介させていただく本はこちらっ!!
ざっと感想
いやぁすごく良い本でした!(語彙力)
筆者のZuziさんは、Regional Scrum Gathering Tokyo 2021とAdvanced-CSM研修で話を聞く機会があったんですが、この本からもZuzi感が感じられて良い!
私はアジャイルコーチとして色んなチームと一緒に仕事をさせてもらってますが、その時に考えていること・やっていることがいっぱい書いてあって「それな!」と思うことが多かったです。特に共感したポイントは後ほど!
それと、日本語訳されたスクラムマスター特化本っておそらく無いはずなので、その点でも貴重だなぁと思いました。
RSGT2021のZuziさんといえば、セッションがYoutubeで公開されているのでこちらもどうぞ!
オススメの読者
当たり前ですがスクラムマスターには特にオススメです!
次点でスクラムチームのメンバーや、マネージャーかなと思います。
スクラムマスターへオススメな理由
開発現場を見ていると、スクラムマスターの捉え所の無さに「で、スクラムマスターって結局何をしたら良いの?」と悩んでいる方が多いなぁと思います。すごく分かります。
そんなスクラムマスターの方にオススメな理由ですが、この本にはスクラムマスターの役割や、重要なメタスキルやコアコンピタンスが幅広く書かれています。目指したいスクラムマスターの姿をイメージできるようになるはずです。
具体的なHowについては現場に即したやり方があると思うので、偉大なスクラムマスター ならどうするか?と考えて読むと良さそうかなと。
開発者やPO、マネージャーへのオススメな理由
私の感覚になりますが、すごいチームはスクラムマスターの要素が全メンバーに溶け込んでいる気がします。特定のメンバーがスクラムマスターをやり続けるわけではなく、輪番制でやっていたり、スクラムマスターは不在だけどみんながスクラムマスター視点を持っていたり、といった感じです。
溶け込んでいると何かとスムーズということもあり、開発者やPO、チームを支えるマネージャーがスクラムマスターのメタスキルなどを理解するのは良い感じだと思います。
ちなみに、所属しているクリエーションラインではマネージャー達がこの本を気に入っていて、「スクラムマスターのレベル3が〜」とか「チーム跨ぎのスクラムマスターコミュニティが〜」なんて話になってます。
オススメポイント紹介コーナー
さて本題です!ここからは私が「良いね!」と思ったポイントを紹介します!紹介しきれない所も多いので、本の全体像が掴めるように目次だけ共有しておきます。
ポイント1:「偉大なスクラムマスター 」が説明されている
チャプター8には以下のような記述があります。
偉大なスクラムマスター は、まず第一にリーダーであることを忘れてはいけません。良いリーダーとして、自発的であり、周りの人々を成功させられなければなりません。
偉大なスクラムマスターは文化人類学者でもあります。他人に興味を持ち、彼らの習慣と働き方を尊重しなければなりません。遊び心を持ち、勇敢でなければなりません。
本当にこれ!スクラムマスターに限定される話ではなく、「チームや組織を良くしたい」、「何か変えていきたい」という人に共通することかなぁと思っています。
「他人に興味を持ち」というのは特に重要だと思ってます。ただこれがなかなか難しいんですが!色んな数字や自分の主張とか経験が邪魔をしてしまうことがあります。また、メンバーと距離を取って俯瞰する視点も必要ですが、離れると興味を持つことや理解を深めていくことが難しいと思っていて距離感も重要だと思っています(私はかなり近寄る派です)
ちなみに、文化人類学はしっかり学びたいと思いまして、「菊と刀」を読んでます(石井食品の石井さんありがとうございます!)
ポイント2:スクラムマスター道(#ScrumMasterWay)が分かりやすく説明されている
では偉大なスクラムマスターってどうすればなれるのか?
この本ではすごく分かりやすく偉大なスクラムマスターへのステップを定義してくれています。
- レベル1:私のチーム
- レベル2:関係性
- レベル3:システム全体
今まで何度か「早くチームを成長させてスクラムマスター卒業したい」という話を聞いたことがあります。チームが良い感じになるのはもちろん素晴らしいことなんですが、ここで言われているのはレベル1なことが多い気がします。スクラムチームの周りには協力しあう他のチームがいます。会社全体を見るとさらに複雑なネットワークがあります。チームを超えて、組織全体まで達した時に本当にすごい仕事ができるんだろうなぁと思っています。ScrumMasterWayってワードも良いですよね!
個人的に注意かなと思っているのは、レベルって表現ですね。ゲーマーな私はレベル1ができたらレベル2へ、という段階的なレベル上げのように見えてしまいます。ただ、現実的にはそんなスムーズになっていることはなく、チームの活動がうまくいかない原因が関係性やシステム全体にあることがよくあります。レベル1をやりながらレベル2、3もやっていくのが効果的だったりするので、レベル1だけの視点ではなく、2、3って視点もあるよー、くらいで考えると良さそうだと思っています。
というようなことが明示されていて、次にやるべきことや目指す先が見えてくると思います。具体的な話になりますが、「スクラムマスターのチームを作る」というアイデアが出ていて、これは本当に良いアイデアだと思うので試していこうと思っています。
「我々のScrumMasterWayはまだまだ始まったばかりだ!」
ポイント3:メタスキルとコンピタンスが書いてあって自分を見つめ直せる
偉大なスクラムマスターのイメージは掴めたけど自分には何が足りてないんだろうか?
この本ではスクラムマスターに必要な要素を説明してくれています。各要素の詳しいところは本を見てもらうとしてリストだけ紹介します!本にはエクササイズとして、各コアコンピタンスのレベルをレーダーチャート形式で自己採点してみるものがあります。これでスクラムマスターとしてレベルアップするための一歩が見えてくると思います。ちなみに自分の場合だと、「遊び心」はあるけど「忍耐」苦手だなぁ…「経験を共有すること」はできるけど「コーチング」はまだまだ伸び代あるなぁ…とかです。
メタスキル
- ティーチング
- 傾聴
- 好奇心
- 尊敬
- 遊び心
- 忍耐
コンピタンス
ポイント4:よくある悩み事「兼務」の注意点が丁寧に書いている
「スクラムマスター × 開発者」「スクラムマスター × プロダクトオーナー」「スクラムマスター × マネージャー」の兼務におけるメリット・デメリットが書かれています。自分の観測範囲だと兼務の現場が多いようです。特に開発者との兼務ですね。こういったよくある悩み事について解説してくれているのは実用的で良いと思います。
兼務全体の注意点としてこんなことが書いています。
スクラムマスター が複数の役割を兼務する場合は、各役割を上手に使い分ける必要があります。同時にかぶれる帽子は1つだけです。発言や行動をする際には、どの役割かを選択する必要があります。さもないと透明性を保てず、いずれの役割もうまくいかなくなるでしょう。
本当にこれ!帽子のかぶり分けは本人としても難しいですし、それ以上に周りのメンバーがついていけないことが多いと思います。前に兼任と専任についてブログを書いたのでこちらも参考にどうぞー
ポイント5:観察や傾聴や共感が重要って書いている
細かいスキルは置いといてこの辺はすごく重要ですよね! 「アイツ何も知らないくせに色々言ってくるよなぁ」って思っちゃってる人の話は聞きたくなくなるので、自分もそうならないように注意しています。
それと、観察っていう言葉が持つイメージもバラバラな気がしていて注意が必要かなぁと思っています。個人的には、遠くから眺めるようなイメージではないと思っています。メンバーと同じような位置からよく観て聴いて、メンバーに深く共感するというのが一歩目かなと思っています。何はともあれ信頼関係を作るのが重要ですよね!(遠くから眺めても分かっちゃう人はそれでもOKです!)
そう考えると、兼務でこれらをやるというのは非常に難しく、少なくとも不器用な自分にはちょっと無理だなぁと思ってしまいます。
ポイント6:変化のきっかけ作りアイデアが書いている
チャプター5に書いている「分散化のテクニックを使う」に書いていることを紹介します。変化のきっかけ作りにフォーカスされているわけではないんですが、紹介されているアイデアは自分もよく使っていて、かつ効果があったと感じるものでした!
読書会
この頃は本よりも色んな動画が公開されているので、みんなで同時視聴しながらコメントをチャットやmiroやmuralに付箋を貼っていくのが多いです。結構議論があって何かが変わることが多いですし、何よりめっちゃ楽しいです。代表の1名が見て伝えるのではなく、みんなで同じものをみるのがポイントですね!読書だとABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)もオススメです!
旅人たち
チームは絶対に固定しないとダメ!って制約を課している所は多い気がします。意図もなくめちゃめちゃに変えまくるのは反対ですが、3ヶ月に1度くらい、良い感じのチーム間で1、2名チェンジしてみるなんてのはむしろ各チームでうまく行ったアイデアを輸出入するきっかけになったりします。(他のチームでうまくいくかは分かりませんが)
オープンスペース
アジャイルな働き方を始めた直後では色んな壁にぶつかり悩むことがよくあります。ちょっと慣れてきたところでも別の悩みがあります。変化しようしているので当たり前かもしれません。そんな同士が集まって話したい議題を出し合って話し合えるオープンスペースは効果もありつつ楽しい場になることが多い気がします。 オープンスペースをもっと知りたい方はこちらの本がオススメです!
オープンスペースをオンラインでやる時の説明でよく使うのは及部さんのこちらの資料です。
ポイント番外編:会議のポイントが書いている
ファシリテーションの所に下記のようなことが書いています。
開始前に各会議の明確な目的と成果物を定めます
開催する理由がモヤっとした会議に出会うことがまぁまぁあります。残念ながら大抵はモヤっとして終わります。終了後に「ファシリテーターがうまく回せなかった」という反省になったりするんですが、その前の準備をしっかりした方が楽に進めれたりします。
プロジェクトが始まったりするときにインセプションデッキを作ったり、スプリント始まる前はプランニングをしたり、特定の期間で目指すゴールや方向を合わせたりすると思います。それと一緒かなぁと思ったりしてます。(特に最初は意識する)
まとめ
ScrumMaster the Bookを読んでグッときたポイントを共有させてもらいました!
今回は取り上げれなかったですが、まだまだ良いと思ったところはいっぱいありました。スクラムマスター はもちろん、スクラムチームのメンバーやマネージャーの方はぜひお読みくださーい!
ちなみに以前私が発表した時に気をつけているポイントに「距離感」「エネルギー」「流れ」「揺らぎ」をあげました。勝手ながらZuziさんのスクラムマスター 像と共通点があるなぁと思ってまして、これからはアジャイルコーチじゃなくてスクラムマスターって名乗ろうかなと思いました!