インセプション作る時に演出していること
こんにちはー!
こちらはインセプションデッキ Advent Calendar 2019 - Adventarの15日目の記事です。
この頃は自分がインセプションデッキを作るというよりは作るお手伝いをさせてもらうことが多いのですが、そこでファシリテーターをさせてもらう時に意図的にやっていることを紹介させてもらいます!
前提
インセプションデッキを作る際に開発チーム以外にも関係する人に参加してもらっています。具体的には企画の方、ユーザー、ユーザーが来れない場合は近い位置で見ている方などです。役割の異なるユーザー(一般ユーザーと管理ユーザーなど)がいる場合、全役割のユーザーに出てもらうようにしています。初対面の方が多いこともまぁあります。
カオスを越えて絆を作る 〜みんなバラバラだよ〜
具体的な演出方法は下記の通りです。
キックオフ前の控え室の様子
最初にインセプションデッキの説明をしているときの反応は「なんで長時間かけてこんなことする必要あるんだ」、特にユーザーの方々は「ユーザーであるオレらの言った通り作ってくれれば良いのに」という顔をしていることがあります。大抵の人は声には出しませんが、私はそういう顔には敏感なのですぐに分かっちゃいます。
(一部の人は「そんなことよりこういう画面を作ってよ」とか声に出てる場合も…)
キックオフでパス禁止
そんな控え室の状態でしたが、遂にインセプションデッキ作成キックオフです!
テンプレ通りだと1番目に「我われはなぜここにいるのか」と2番目に「エレベーターピッチ」かなと思います。私も大体そうしています。
ここは会話というパスを禁止して個別ワークで付「自分が思う」「なぜここ」と「エレピ」を付箋に書いてもらいます。この2つは根本的な課題を考える所なので、ユーザーの環境をよく知らない開発者には結構難しいです。ではユーザーはスラスラ書けるかというと意外にそうでもないです。「なんでって言われてもなぁ…」みたいになります。課題自体をしっかり考えることはあまりないのかもしれないので、内省の時間としてもちょうど良かったりします。まぁそんなこんなで、初めてボールを触ってドリブルもままならないような状況ですが、そこまで時間はかからず全員書き終わります。
ちなみにサッカーを例えにしていますが私はバスケ部出身なのでサッカーは詳しくありません。
ようやくパス解禁
個別ワークで書いてもらったものをみんなの前で発表してもらいながらホワイトボードに貼っていきます。
もちろん違う属性の参加者(開発者とユーザーとか)が書いているものは大きく違っていたりします。面白いのはユーザー同士でもかなり違ってたりすることです。そもそも根本的に想定しているメインユーザーが違ってたりします。「お前そんなこと考えてたのかよ〜」「だってまずはこっちの人に使ってもらわないとダメかなと思って〜」なんていう、スルーパスもらってキーパーと1vs1だと思ってたら外に広げてセンタリングあげんのかよ、みたいなやり取りが発生します。
ゴールを奪うための意識を合わせる
それぞれの考えが合っていないことを理解できたので、ようやく全員が納得感を持ってインセプションデッキ作成を開始できます。真の意味でピッチに立った瞬間です。
ここからは「自分が思う」「なぜここ」&「エレピ」を「私たちが考える」「なぜここ」&「エレピ」に変えていくのみです。ちなみに、この時点で前半+ハーフタイムが終了していることが多いです(結構時間を使っているということ)。でもここを越えるとチームは非常に良い状態になっていて、後半はどんどん自分たちで得点を取っていってくれます。
ちなみにちなみに、ここまでの順序は下記のどちらでも構いません。個人なぜここのバラバラっぷりを見ながら切り替えたりしてます。
案1
- 「自分が思う」なぜここ
- 「自分が思う」エレピ
- 「私たちが考える」なぜここ
- 「私たちが考える」エレピ
案2
- 「自分が思う」なぜここ
- 「私たちが考える」なぜここ
- 「自分が思う」エレピ
- 「私たちが考える」エレピ
監督は観客席へ移動
こうなると笹監督は急にサッカーモードからラグビーモードに移行します。「次はトレードオフスライダー作ってみましょうか。トレードオフスライダーというのは…」という全体進行と説明はしますが、一つ一つのタフクエスチョンのファシリテートはチームメンバーに任せちゃったりします。その方が「笹に作らされている感」が減ってチームメンバーが本気で作ってくれることが多い気がします。
その時「なぜここ」と「エレピ」が近くに貼り出しているとメンバーが参照しやすいです。具体的にはイーゼルパッド1枚に付箋をまとめて貼っておき、そのイーゼルパッドを壁に貼っておくのが良いと思います。「そっちも重要だと思うけど、なぜここを見直してみるとこっちの方が重要なんじゃない?」なんて話が出てくると良い感じです。
ここで試合終了のホイッスル
良い感じでインセプションデッキが出来て試合終了。3,4時間程度の時間で大体5,6個のタフな質問に回答できるペースかなと思います。
次戦はユーザーストーリーマッピングなどプロダクトバックログを作るような戦いに望むことになると思いますが、その時も作成したインセプションデッキもご同行してもらえると良い仕事すると思います。
まとめ
みんなが本気でインセプションデッキに参加することを通してチームを結束するための演出を紹介しました。
「なんでこんなことしないといけないの?」→「みんなバラバラじゃん…」という危うい状態からスタートしますが、雨降って地固まるというコトワザがあるように最後は良い感じに団結できたりします。
最後に、「なぜここ」とか「エレピ」とか略して言いましたが、今回のブログで文字数減らすために適当に省略しただけですのでご了承ください。
次回
橋本 宙さんの「11月中にちょうどやってみるのでその内容をまとめてみる」です!
現場の事例は生々しくて好きです!